ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ベン・サッチャー

ロッキング・オン6月号では、「究極のギタリスト」を特集しています。そこでギタリスト特集とあわせて 、昨年の9月号に掲載したロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ドラマー」を43日にわたり、毎日1人ずつご紹介します。

「究極のロック・ドラマー」に選ばれたアーティストはこちら。

ベン・サッチャー(ロイヤル・ブラッド)

ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ベン・サッチャー

ベース&ドラムの変則デュオ、ロイヤル・ブラッドが生み出す奇妙な化学反応について考える時、彼らがギター&ドラムの変則デュオだったザ・ホワイト・ストライプスと幾つかの顕著な共通点を持っていることに気づくはずだ。

例えばそれは、ボーカルを担当するベーシストやギタリストがひとりでふたり分の働きを担う過剰なプレイヤーであり、変則デュオの欠落を埋めて余りある技を編み出すズバ抜けたアイデア・マンでもあること。その一方で、ドラマーは極限までシンプルでミニマルなプレイに徹し、手数だけで言ったら0.5人分程度の働きしかしていないこと。

ロイヤル・ブラッドの場合、ギター弦とベース弦をミックスして張ったトリッキーなベースを弾きこなすマイクが、アンプやエフェクターを駆使して分厚く華やか、そしてメタリックなグルーヴを生み出す後ろで、ベンのドラムはほとんど垂直運動の打撃に徹している。必要不可欠なタイミングにしか叩かず、しかも一打一瞬ごとに完結して聴こえるそれは、気功を突いて相手を数メートル吹ばすカンフー・マスターのごときプレイなのだ。

セカンド『ハウ・ディド・ウィ・ゲット・ソー・ダーク?』ではR&Bを感じさせるよりしなやかなグルーヴも生まれたが、ベンのプレイにはほぼ変化がない。むしろ彼のドラムが揺るぎない軸として直立しているからこそ、彼らのグルーヴは自在に変容していけるのだろう。(粉川しの)



ロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ギタリスト」特集掲載号は、現在好評発売中。ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。


ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ベン・サッチャー - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする