実に3年半ぶりのライブとなる東名阪ツアーを経てリリースする、約1年ぶりのニューシングル。痺れるようなファズサウンドとフィードバックノイズが交錯するギターワーク、ラフ&デッドなリズムの響き――といったグランジバンドばりのアンサンブルを軽やかに全身で呼吸しながら、《当たり前じゃないよ/君が生きてるのは/誰かのおかげだよ》、《大事なものは/変わっていくけど/今は今しかない》と「生きること」の本質のさらに真芯を丁寧に言葉で射抜いていく表題曲“マネキン”でのyui(Vo・G)のボーカリゼーションは、シンガーというよりもむしろパフォーマンスアートの如き総合芸術感を漂わせている。R&Bとジャズとピアノポップスが手を取り合ってストリートを闊歩しているような、悠然とした躍動感に満ちたカップリング曲“ドラマ”も含め、日本のポップミュージックという枠組みに囚われることなく、精緻かつ高純度な音楽工房としてのFLOWER FLOWERの高機能性を存分に物語っているし、表現者:yuiの着実な進化と開花がそのしなやかな歌からも伝わってくる。(高橋智樹)