本領発揮のカーニバルが始まった

GLIM SPANKY『BIZARRE CARNIVAL』
2017年09月13日発売
GLIM SPANKY BIZARRE CARNIVAL
幻想的な世界と、世の中に平手打ちのような衝撃を与えたいという気持ちからつけられたバンド名の通り、これまでは平手打ち並みに注目を集めるパワフルな2作品だったが、本作は4月に出たミニアルバム『I STAND ALONE』で示した「GLIM」な世界観を炸裂させる、別角度からの衝撃作だ。「異様なカーニバル」の表題に違わず、道化が踊る見世物小屋に妖精や悪霊も登場し、謎めいた劇場の幕が上がる。ケルト神話や稲垣足穂の小説を愛する松尾レミ(Vo・G)が、自分の中に浮かぶ情景を存分に描いた歌詞は、そのまま映像になりそうだ。彼女の落ち着いたハスキーボイスが夜の闇へと背中を押す。もうひとつ松尾が大切にしているオーセンティックなロックへの強い思いも、たっぷりと注ぎ込まれた。曲のあちこちに見え隠れするロックなアイコンに気づけば、共犯めいた喜びを感じるはず。伝統的なフォルムに今日的な要素をうまく合わせた亀本寛貴(G)のアレンジもいい。今回はタイアップも少なく、1曲を除きセルフプロデュース。本領発揮のカーニバルの始まりだ。(今井智子)
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