賛否両論があるのも、また必然
小沢健二とSEKAI NO OWARI『フクロウの声が聞こえる』
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小沢健二とSEKAI NO OWARIがコラボレーションする。ほんの数年前までは思いよらなかったことが実現する2017年。今夏のフジロックで、グリーンステージのコーネリアスのライブの途中から、ホワイトステージの小沢健二へと向かう、さながら民族大移動の道中に“STAR FRUIT SURF RIDER”を聴きながら苗場の山道を歩いた時に覚えた感覚は、なんともパラレルワールドじみていた。しかし、これが2017年のリアルなのだ。小沢がフジロックのライブで最後に披露した“フクロウの声が聞こえる”。その時はまだこのレコーディング音源がコラボレーション楽曲であるとさえ思ってもみなかったわけだが、小沢とSEKAI NO OWARIはあまりにナチュラルに音楽の上で共鳴し、交歓している。シンフォニックでドリーミーな、桃源郷を豊かに想像するためのチェンバーポップとも言える音と歌から広がるのは、二律背反の事象や概念が手を繋ぐ世界である。筆者が担当した『ROCKIN'ON JAPAN』2017年11月号のSKY-HIのインタビューでもトピックになった「多様性」というキーワードは、この曲にも大きく横たわっている。(三宅正一)