手に入れたもの、失ったもの

ステレオフォニックス『スクリーム・アバヴ・ザ・サウンズ』

発売中

ステレオフォニックス スクリーム・アバヴ・ザ・サウンズ
2016年にデビュー20周年を迎えていたステレオフォニックスの、通算10作目となるアルバム。ここ数年は自主レーベルからのリリースが続いていた(それでも前作『キープ・ザ・ヴィレッジ・アライヴ』はUK1位)が、本作は新たにパーロフォンと契約して届けられることになる。かつてはオーセンティックで野太い3ピースのロックンロールを軸に、派手さこそないものの一貫して硬派で聴きごたえのある作品を届けてきた彼らだが、本作ではフォーキーな情緒とノイジーなサウンドが絡む“ワッツ・オール〜”や、雄々しいコーラスに彩られた“ジェロニモ”、痛快な爆走グルーヴの“クライン〜”といった楽曲にそれぞれ熱く自由度の高いサックス演奏も取り入れられ、キャリアを経るほどに一層豊かに広がる表現を伝えている。特筆すべきは、2003年に脱退し2010年に他界してしまった元ドラマー=スチュアート・ケーブルについて歌われた“ビフォア・エニワン・ニュー〜”だろう。ギターもビートも排し、シンプルなピアノのリフレインだけをバックに、ケリーはかつて共有していた若い情熱を回想しながら、切々と喪失感を歌っている。(小池宏和)

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