つまり、表面的にはノーマンのお遊びプロジェクトであるということになっているこのBPAだが、そんなことはまったくないということである。音にしてもそう。デヴィッド・バーンやディジー・ラスカルをはじめ、多彩なゲスト――ノーマンによれば「飲み友達」――を集めて、ブレイクビーツからヒップホップ、ダブにロック・バラードまでやりたい放題。しかし散漫にならないのは、音の密度とプロダクションの緻密さゆえだろう。もちろんノリ一発で作ったものではありえない。では、このギミックめいたコンセプトはいったい何だ、ということになる。
思うに、彼はもう一度イチからパーティしようとしているのではないか。ファットボーイ・スリムという鎧を脱ぎ捨て、文字通り裸一貫で。ダンス・ミュージックというのはもともとおバカなものだったし、それを大人が真剣にやるからカッコよかったのだ、もう一度それをやろう、と。ノーマンが「ダンス・ミュージックをガキどもから取り戻せ!」と叫んだかどうかは知らないが、気合い入っていることは確か。(小川智宏)