境界線を踏み越えろ

ヤング・ファーザーズ『ココア・シュガー』
発売中
ヤング・ファーザーズ ココア・シュガー
グライム人気でブラック・ブリティッシュ音楽に対する関心の裾野が広がっているが、ラップ、アフロビート、パンクをミックスするスコットランド発のこのトリオもその特異なフュージョン性の産物と言える。マッシヴ・アタックとの共演、『T2』サントラ参加と話題が続いたところで登場するサードは、しかし浮き足立つことなくマイペースで歩を進めている。初期作品を印象づけた音響/ハーモニー面でのポスト・パンク的な異化効果は抑え気味な一方で、ゴスペル調コーラスやボイス加工などボーカル面でのアプローチは深化している。結果③④⑤をはじめ彼らの歌の持つアンセミックなパワーとメロディのフックがクローズアップされ、以前から語っていた「ポップをやっている」との自負と実験性が見事なバランスをとっている。ミシェル・オバマの公式肖像画が「前衛過ぎる」と批判されたのは、逆に過去の肖像画の旧態依然としたセンスを暴露した。時代は変わっているのだ。(坂本麻里子)
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