扉を開け続けるパスピエ

パスピエ『ネオンと虎』
発売中
パスピエ ネオンと虎
ドラマー脱退を経て、新体制で制作した前作『OTONARIさん』では、ドラムにBOBO(フジファブリック等)、佐藤謙介(ex踊ってばかりの国)を迎え、また初めて打ち込みを使用し、バンドの新章を告げる試みのサウンドを作り上げ、新たな手触りのダンサブルな曲で驚かせたパスピエ。ミニアルバムというサイズ感も実験の場に合っていて、リスナーの心を、何かが起こっているというスリルとワクワク感で満たすのにいい塩梅でもあった。そして今回のミニアルバムではさらに、前作とは違った角度から新たなパスピエを見せる作品となった。

今回印象的なのは、グルーヴが強調されていること、そして大胡田なつきのボーカルが彼女独特の「節」を活かしつつも、キーを落として丸みを帯びた温度感があること。演奏も歌もプログレッシブだが、トリッキーさを感じさせない心地好さがある。AORやフュージョンのムードが、パスピエの描くセロファン越しのような世界と溶け合って、ポップ濃度を増した。今回は、ミックスを菅井正剛とAxSxEが手掛け、それぞれ曲とバンドの肝を引き出している。(吉羽さおり)
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