総天然色のポップ・オペラ

オブ・モントリオール『スケルタル・ランピング』
2009年02月18日発売
ALBUM
オブ・モントリオール スケルタル・ランピング
アップルズ・イン・ステレオやオリヴィア・トレマー・コントロールといったエレファント6近隣のお友達に囲まれて箱庭的なポップに嬉々と興じる……みたいなイメージは遥か昔。その動向を横目で眺めながらも彼らのいいリスナーではなかった自分にとって、ここ数年の急上昇な人気者ぶりには驚かされるばかりである。きっかけはやはり一昨年の『Hissing Fauna〜』なんだろう。けれどそれは突然の狂い咲きではなく、まさに機が熟したというか、10余年一筋積み上げてきたものが開花すべくして開花した末の賜物に違いない。そしてそれは、本国は勿論、ウルフ・パレード周辺のカナダ勢やアンチコンの一角とも共振を見せながら、MGMTという最高のフォロワーまで産み落とした。

前作の勢いそのままに、圧倒的な高揚感と色彩を放つポップの桃源郷を創り上げた9作目。元来の音の一粒一粒にまで緻密な細工を施す職人的な手捌きに加えて、ソウル、ディスコ、クラウト・ロック、トロピカルなパーカッションを渾然一体と織り交ぜながら一気に魅せるテンションの高さに、眩暈を覚える。『エンペラー〜』期のステレオラブ、いやそれ以上かもしれないポップの全能感。3月の来日も楽しみ!(天井潤之介)
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