現時点での最高傑作

ジャスティス『ウーマン・ワールドワイド』
発売中
ALBUM
ジャスティス ウーマン・ワールドワイド

2016年に発表された3rd『ウーマン』収録作を中心に、これまでの楽曲をパリのスタジオで再レコーディングしたライブ・スタジオ・アルバム。ジャスティスは以前の2枚のスタジオ・アルバムの後にもそれぞれライブ・アルバムを出しており、ひとつのフェイズを終える前に必要なプロセスとしているのだろう。

さて、ジャスティスといえば、自身のエレクトロの下地に異なる要素をフックとして取り入れることでオリジナリティを獲得してきたグループ。それも、1stではメタルのリフ、2ndではプログレの構成、3rdではゴスペルのクワイアと、引用する題材も縦横無尽で、それゆえアルバムごとの振れ幅は相当なものとなってきた。そして本作。そんなバラバラな3作品の要素が、このバランスでしか在り得ないという分量で溶け込み合って成立している。これはたしかにライブ・アルバムではなく、スタジオで緻密に作業してこその音像だろう。

では逆に、ただのスタジオでの再レコーディング作ではなく、ライブ・スタジオ・アルバムとしたのは何故か。それは当然、アルバムの流れを通じて彼らのライブを疑似体験するような作りにしているからだろう。1曲ごとに盛り上がりのポイントがあり、BPMの連なりがあり、全体としての大きなうねりがある。深夜のクラブで爆音でこれを流されたら、何の違和感もなく踊り狂ってしまうはず。またそれは、「アルバム」として聴くことの必要性を強烈に意識させる作品でもあるということだ。文句の見つからない傑作である。『ウーマン』を出す前の数年間には、もう一度最前線に躍り出てこられるか不安な時期もあったのが嘘のような頼もしさだ。本作、そして今後の欧州における大型フェス出演〜USツアーにより、その存在感をより巨大なものとするに違いない。(長瀬昇)



ジャスティス『ウーマン・ワールドワイド』の詳細はHostessの公式サイトよりご確認ください。

『ウーマン・ワールドワイド』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」9月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

ジャスティス ウーマン・ワールドワイド - 『rockin'on』2018年9月号『rockin'on』2018年9月号
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする