この結成10周年イヤーに、主催フェス「YON FES」はもちろん、アリーナツアーを経て、RIJFでのGRASS STAGE進出や「AIR JAM 2018」でのトリ前出演など、大規模なステージでの活躍が目立っていたフォーリミのニューアルバム。周年の節目を口実にステップアップするというよりは、タイトルどおりに盤石の「土壌」を踏みしめてここに立っているのだ、ということが一発で伝わる傑作だ。ロマンを抱いて進もうとしたぶんだけ戦場は増えるし、遠ざかっていく面影もある。そこに込められた感情の彩りは曲調と同じだけ多様だけれども、すべてがフォーリミらしさの「土壌」に深く根を張り、凛とした花を咲かせている。3作目のフルアルバムともなれば、普通は新しい表現方法を模索してブレが生じそうなものだが、本作にはそれがない。練り上げられた楽曲とアレンジも、メッセージごと音楽的な発語の快感をもたらす歌も、研ぎ澄まされている。世代を代表するように「声」を巻き込んでゆく怒涛のボーカルリレー“Galapagos”は驚愕の1曲だ。いつか、2018年に『SOIL』を聴いた、と胸を張る日がきっと来る。（小池宏和）