周囲に誰もいないのをこっそりと確認してからブツブツとひたすら連呼していると危ないトランス状態に陥ることができる言葉というやつが世の中にはたくさん存在する。そういうものをとことんまで楽しみ尽くしたい願望を思いっきり解放してくれる点が、
ヤバイTシャツ屋さんがこんなにもたくさんの人々に支持される存在となっている大きな理由のひとつなのだと、このアルバムを聴いて強く思った。《タンクトップ》、《クプアス》、《どすえ》、《おこしやす》、《ぶぶ漬け》、《かかとローラーの靴》、《イヌ》、《ネコ》、《インコ》、《ハムスター》……などなど、極上の音の響きを帯びている言葉の数々が、キレ味抜群のバンドサウンド、クライマックスを果てしなく更新し続けるかのような勢いで交わされる男女ツインボーカル、「そういうやついる!」、「こういうことある!」、「まさしくその通り!」、「よくぞ言ってくれた!」という素朴な共感を強く誘う切り口の描写に彩られながら炸裂し続ける今作の威力は、本当にとんでもない。ヤバTは飄々としているようでいながらも、実は劇物の塊であることがとてもよくわかる作品だ。(田中大)