高精細の「暗黒」のポップアート

SEKAI NO OWARI『Eye』
発売中
ALBUM
SEKAI NO OWARI Eye
前作『Tree』から4年という時間を感じさせないほどに、新機軸な名曲とコンセプチュアルなツアーの数々を提示してきたSEKAI NO OWARI。自身の「ダークサイド」と「ポップサイド」をアルバム2作に遠心分離してみせた『Eye』&『Lip』のうち、“ANTI-HERO”、“SOS”など、よりシリアスな感情と思考をコンパイルしてみせた「ダーク」な作品であるこの『Eye』は、誰もができれば意識下に押し込めていたいヘビーな心情のひとつひとつを生命のポップアートとしてクローズアップするSEKAI NO OWARIの真価をあらためて浮き彫りにする1枚だ。

ジャズとR&Bとポップが乱反射する中で自らの幻影に苛まれる“ドッペルゲンガー”、《何も分からないまま生きていく》現実を雄大なアンセムに編み上げた“すべてが壊れた夜に”……と個々のアレンジも含めてこの世のカオスを最大限のユーモアとペーソスで包み込んでみせた今作。《時々頭がおかしくなる普通の日常》の辛辣な描写&ハイパーかつ重厚なサウンドスケープでアルバムの終幕を飾る“スターゲイザー”が、時代を俯瞰する黙示録の如く厳かに響く。(高橋智樹)
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