2月1日、特設サイト上で唐突に先行リリースされたKOHH通算5作目のスタジオアルバムは、ストリングスの厳かな調べで幕を開ける。人間の愚かさと生命の尊さに触れながら、人はみな地球の一部だと歌った“ひとつ”につづくのは、不穏なトラップ・ビートに乗せて《さぼらずに／やるだけ》と咆哮する“Imma Do It”。そして、ONE OK ROCKのTakaと共に成功への野心を叫ぶオルタナティヴ・ロック“I Want a Billion”。この冒頭3曲にぶっ飛ばされたあと、アルバムは徐々に不穏なムードを纏っていく。なかでも特筆すべきは“Leave Me Alone”以降の終盤3曲。ここで彼は、現在の自分が過去とは違う場所にいると静かに告げながら、今も見えないロープに縛られていると嘆き、叫んでいる。自由を渇望してきたKOHHをいまだ縛る、社会という名のロープ。言うまでもなく、それは我々を縛るものでもあり、地元の北区王子から世界に飛び出したKOHHは、それでも拭えない徒労感に苛まれながら、更なる高みを目指しているのだ。その引き裂かれそうな感情を吐き出した、壮絶な一枚。（渡辺裕也）