柔肌に突きつけたロックの刃

THE NOVEMBERS『paraphilia』
2009年03月18日発売
ALBUM
THE NOVEMBERS paraphilia
「裸」とか「さわらせてよ」とかいうタームを随所にちりばめながら、官能や悦楽とは対極の破滅や畏怖を想起させる、THE NOVEMBERSの9ヶ月ぶりの2ndミニアルバム。「今、ここ」に散らばっている絶望の欠片を衝撃映像集のような言葉と鋭利なギター・サウンドに編み上げた前作『picnic』から一転、摂氏100度の白昼夢のような今作での彼らの楽曲には、聴く者すべての心の柔肌に批評の刃を押し当てながら、平穏な日常の殻をかち割ったその先の背徳の世界へと引きずり込んでいくスリルと恐怖がある。エレクトロ的な手触りの“philia”。獰猛なエモーションを天高くまで噴き上げる“dnim”“chil”。静謐なアルペジオと小林祐介のファルセット越しに≪僕はいま地面に/ひざまずいて/頭を撃たれた≫と禁断のイメージを静脈注射してくる“keep me keep me keep me”……単純にギター・ロック・アルバムとしても圧倒的な完成度を誇る今作だが、そのギターの鳴りの1つ1つは確実に僕らの脳裏のタガを外していく。聴いたが最後、漫然とした「昨日」には戻れない――そんな危険な薫り漂う怪盤。(高橋智樹)
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