少し大人になった、21歳の春

カリード『フリー・スピリット』
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ALBUM
カリード フリー・スピリット

まだ現役高校生だった頃に音楽共有サイト「SoundCloud」にアップした自作曲から火が付き、オルタナR&Bポップ界の超有望株として、一気に注目を集めたカリード。19歳の年に発表したデビュー・アルバム『アメリカン・ティーン』ではティーンの本音の感情――無責任な自由ゆえの開放感とか、まだ始まったばかりの恋愛模様とか――を、繊細なニュアンスまでコントロールされた美声ボーカルで歌い上げ、同世代ファンから絶大な支持を集めた。

あれから2年。待望のセカンドとなる本作『フリー・スピリット』は、21歳になったカリードに訪れた、さまざまな心境の変化――大人の自分への期待感とか、現実とのギャップとか――が、より色味の濃淡を増したR&Bサウンドとして結実した、文句なしの会心作だ。

中でも前作と比べ、格段に味わいが深まったのがラブ・ソング。先行シングルにも選ばれた“トーク”(ディスクロージャーとの初コラボ)では《僕はただ、もっと話をしたいんだ》と画面越しのやりとりじゃない、リアルな繋がりへの願望を切々と伝えたり、“マイ・バッド”では《電話をサイレント・モードにしちゃってて、ごめんね》と、はやる想いのすれ違いを後悔したり、“ブラフィン”では《どうせハッタリをかましてるんだろ》と、終わりかけている恋に懸命にすがってみたり――スイーツとほろ苦さが程よくブレンドされてて、まるで極上のR&Bパティシエなのだ。

一方でアルバム終盤に固められた“アライヴ”や“へヴン”では、生きることの喜びを敬虔に謳歌するような、より大きなテーマの楽曲にも挑み始めていて、まだまだ伸びしろしか見えない21歳。ティーンの季節が過ぎ去っても、カリードの成長は止まらない。 (内瀬戸久司)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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カリード フリー・スピリット - 『rockin'on』2019年5月号『rockin'on』2019年5月号
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