伝説を補完し、寂しさを埋めてくれる2時間半

サウンドガーデン『サウンドガーデン:ライヴ・フロム・ジ・アーティスツ・デン』
発売中
ALBUM
サウンドガーデン サウンドガーデン:ライヴ・フロム・ジ・アーティスツ・デン

2013年2月17日、ウィルターン・シアターで行われたサウンドガーデンのライブを完全収録。2枚組CDのほか、4枚組アナログ盤、映像を観られるブルーレイ、それら全てを含めたデラックス版も出る。また、世界各地でIMAX上映も開催された(日本でもぜひ!)。「ライヴ・フロム・ジ・アーティスツ・デン」というのはエミー賞にもノミネートされた人気プログラムで、過去にルーファス・ウェインライトやトーリ・エイモスも、同番組用のパフォーマンスを作品化している。通常の公演とは少し異なる内容なのが売りらしく、確かに本作も、代表曲の“My Wave”や“Spoonman”、“Black Hole Sun”などの間に通好みなナンバーを挟み込んだセットリスト。特に“Blind Dogs”は、映画『バスケットボール・ダイアリーズ』のサントラに提供したオリジナル・アルバム未収録曲で、この日がステージ初披露となったそうだ。

当時サウンドガーデンは、前年11月に再結成後の初アルバム『キング・アニマル』を発表したばかり。それを受けての北米ツアー第1レッグ千秋楽となる本公演は、前日/前々日と同じ会場で3夜連続行われたショウの最終日でもあった。実は、前日のステージでは先述したような代表曲を演っていなかったりすることも考えると、3日通しでスペシャルな内容だったのではないかとも思う。フックの効いたヒット・ナンバーと並んだ、オープニングの“Incessant Mace”をはじめ、“New Damage”とか“Slaves & Bulldozers”などドロドロにヘヴィな「これぞ真のグランジ!」というタイプの楽曲が、あらためて印象深い。このバンドの原点と、音楽的な懐の深さを同時に再確認させられた。

ご承知の通り、サウンドガーデンは1度きりしか来日していない。ちょうど『スーパーアンノウン』リリース直前だったので、これと続く『ダウン・オン・ジ・アップサイド』、そして『キング・アニマル』に収録された名曲/佳曲の数々は、日本のファンの多くがライブ体験できていないことになる。そして、再結成後のバンドの状態の良さは、本作にしっかりと記録されている。解散していた間はパール・ジャムでキャリアを重ねたマット・キャメロンによる優れたドラミングを軸に、演奏の完成度は高められ、クリス・コーネルの歌声も衰え知らずの輝きを放つ。そんな光景を直に観る機会は、もはや永遠に失われてしまった。

全29曲(※最終トラックはフィードバック・ノイズ)2時間半に及ぶボリュームの本作は、その寂しさを少しだけ埋めてくれる。 (鈴木喜之)



詳細は UNIVERSAL MUSICの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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サウンドガーデン サウンドガーデン:ライヴ・フロム・ジ・アーティスツ・デン - 『rockin'on』2018年9月号『rockin'on』2018年9月号
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