割り切れなさ収まらなさが人間だもの

ヤングオオハラ『YOUNG☆TONE』
発売中
MINI ALBUM
ヤングオオハラ YOUNG☆TONE
ソリッドなギターロックかと思いきや、ハローユキトモ(Vo・G)の歌がリラクシングな聴き心地をもたらしたり、パーティー感のあるリズムで跳ねたかと思いきや突如酩酊感のあるサウンドに潜ったり。歌も音も驚くほどフリーハンドで、快感原則にあまりに忠実。表面感は滑らかで煌めいていてポップだが、その実は一切セオリー通りにいかないアレンジと遊び心の塊で、その歪さが彼らのバネと個性になってきた。そのうえでの今作は、冒頭の“MAGIC”のようにメロディの力で正面突破する楽曲も増加。音楽は魔法だと信じ続ける心を、高く打ち上げていく歌とメロディ。すっと身を委ねたくなる遊び場感がより一層ストレートな形で表出していて、いい。そして真骨頂は、“中南海”のようなミドルナンバーだ。日常とその日々の中にいる大事な存在。ヤングオオハラはそれだけを歌い続けているが、歌が日々に近くなるほど、ユキトモの歌は熱く激情的に昇る。青春感を目一杯解き放ち、しかし青春の儚さも知っているからこそ、今誰かと分かち合いたい……そんな気持ちが、彼らの音楽の根底にある想いなのだとよくわかる。(矢島大地)
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