ハード・ロックの絶頂と混沌

ホワイトスネイク『スリップ・オブ・ザ・タング:30周年記念スーパー・デラックス・エディション』
発売中
BOX SET
ホワイトスネイク スリップ・オブ・ザ・タング:30周年記念スーパー・デラックス・エディション

名盤『スリップ・オブ・ザ・タング』リリース30周年を記念して発売されるリイシュー盤4形態の中でも目を奪われるのはやはり、6CD+DVDから成る全7枚組のスーパー・デラックス・エディションだろう。『スリップ〜』全10曲の最新リマスター音源にB面曲&別ミックスを収めたディスク1、各楽曲の間にデイヴィッド・カヴァデールのコメントが挿入された「ザ・ワギング・タング・エディション」初CD化盤となるディスク2をはじめ、デモ音源/モニター・ミックス/アルバム制作過程のセッション・テープといった未発表音源の数々、さらにはホワイトスネイクがヘッドライナー出演した1990年フェス「モンスターズ・オブ・ロック」のライブ音源&映像までもボックス・セットとしてコンパイルされている。『スリップ〜』がいかにして生まれたのか、そしてハード・ロック・シーンにおいていかに愛されたのか――を余すところなく30年後の今へと伝える、圧倒的なアイテムだ。

ラインナップの変動著しいホワイトスネイク史においても、自身の代表作でもある前作『白蛇の紋章〜サーペンス・アルバス』の成功とそれに伴う期待や軋轢が一気に押し寄せた『スリップ〜』期は、ある意味最も凄絶な混沌に見舞われた季節でもあった。『白蛇の紋章』後にメンバーを一新して臨んだ今作ではしかし、カヴァデールとともに楽曲制作の要だったエイドリアン・ヴァンデンバーグが右腕を痛めて演奏不能となり、ギター・パートを担当したのが新加入のスティーヴ・ヴァイ……というハード・ロックの頂での「生みの苦しみ」を、このボックス・セットはリアルに物語っているし、前述のフェス映像でのカヴァデールの佇まいは、シーンと時代の最前線で闘う者の凄絶なまでの矜持に満ちている。 (高橋智樹)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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ホワイトスネイク スリップ・オブ・ザ・タング:30周年記念スーパー・デラックス・エディション - 『rockin'on』2019年11月号『rockin'on』2019年11月号
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