sumikaのタイアップはどれもこれもが本当に幸福な形で実現している。幸福というのはコラボによってかえってsumikaらしさが際立つ曲ばかりだという意味だが、それは彼らが誠実に「誰かのもの」、もっといえば「あなたのもの」であろうとし続けてきた結果だ。進研ゼミ2020のCMソングとなっている本作の“センス・オブ・ワンダー”もまた、「頑張れ」とか「負けるな」とかのウソっぽくなりそうな言葉を一度も使うことなく、《進め》だけで背中を優しく押す、まさにどんなときも立ち止まらず進み続けてきた彼らだからこその応援ソングになっている。しかし、それだけでは片岡健太としても据わりが悪かったのだろう。《したいことだけ／死ぬまでやって／そこまでやって／じゃなきゃ／ライラ　ライラ／意味がない》とまるで“センス・オブ・ワンダー”の裏面にある闘争心をさらけ出すような“ライラ”に、愛の光と影を映し出すような“No.5”と“エンドロール”。このEPは4曲で表裏すべてを描き出す。それがタイトルどおり「ハーモナイズ」して生まれているのがsumikaだとでも言うようだ。（小川智宏）