約3年半ぶりのアルバムで、“katharsis”、“P.S. RED I”、“蝶の飛ぶ水槽”といったテーマ曲シングルと、suis（ヨルシカ）をゲストボーカルに迎えた配信シングル“melt”をニューミックスで収録。また作詞や演奏、アレンジなどに各方面から共演者を迎えるという、タイトルどおり才能の彩りに満ちた作風となっている。導入部に当たる“彩脳 -Sui Side-”では漫画家・石田スイ（ジャケットアートワークも担当）が作詞、フィナーレを飾る“copy light”では又吉直樹が歌詞を監修。鮮やかな心象を描く言葉が、歌の世界を押し広げている。TKにとっては映像や言葉も、音楽のための重要な刺激であり構成要素に成り得るのだということが、他者との関わりを通して見えてくる。ちゃんMARI（ゲスの極み乙女。）が美しいピアノを奏でる“インフィクション”や、エレクトロニカの気鋭・SAKURA TSURUTAが参加した“鶴の仕返し”なども素晴らしい。近年のTK作品には、生演奏の音響やダイナミズムと等価に、効果的なエレクトロニックサウンドも配されている。これも、本作を彩る新たな才能のひとつと言えるだろう。（小池宏和）