アーティスト

    忠実に原体験を再現

    ラヴ・リジェネレイター、イーライ・ブラウン、カルヴィン・ハリス『ムーヴィング』
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    EP
    ラヴ・リジェネレイター、イーライ・ブラウン、カルヴィン・ハリス ムーヴィング

    カルヴィン・ハリスが今年1月に始動させた新プロジェクト、ラヴ・リジェネレイター。カルヴィンのコメントによるとこの新プロジェクトは、「22年前、周りの目を気にせず音楽を作り始めたときのやり方を再発見したかった」「純粋に楽しいことをやる」「1991年のタイムカプセルから来たかのようにするため、すべての音はその時代のものを使っている」「初期のレイヴ、ブレイク、テクノ、ハウスといった自身が夢中になっていた音楽にインスパイアされている」という趣旨のものだ。始動と同時期に配信された“ヒプナゴジック(アイ・キャント・ウェイト)”と“CP-1”という2曲は、複雑なブレイクビーツ×ドラムンベース×テクノとうねりまくるシンセに煽情的なボイス・サンプリングで構成された、まさに90年代初期な楽曲だった。そこからラヴ・リジェネレイターは、ひと月に2曲というハイペースでプロジェクトの指針に則った楽曲をリリースしてきた。最新曲は、テックハウスのDJ/プロデューサーであるEli Brownと共同制作した“Moving”と“Don’t You Want Me”。これまでのレイブ感強めの音と比べ、ぐっとクラブライクなテックハウスになっている。

    EDMのDJとして、世界で最も稼ぐ存在となったカルヴィン・ハリス。音楽シーンの主要アーティストをこぞって集結させた2017年の『ファンク・ウェーヴ・バウンシズ Vol.1』は、言わずもがな、ポップアルバムの金字塔となった。以降も、デュア・リパサム・スミスとコラボし、キャッチーなボーカル曲を生んできた。ラヴ・リジェネレイターの忠実に「原体験」を再現しようとする音と姿勢は、明らかに新たなフェイズに向けての必要不可欠な過程であり、デトックス的な意味合いもあるのだろう。 (小松香里)



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    ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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    ラヴ・リジェネレイター、イーライ・ブラウン、カルヴィン・ハリス ムーヴィング - 『rockin'on』2020年6月号『rockin'on』2020年6月号
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