究極のステイ・ホーム作

フィッシュ『シグマ・オアシス』
発売中
ALBUM
フィッシュ シグマ・オアシス

アメリカの誇る現在最高のジャム・バンドながら日本ではまだまだ知名度が低い状況に変化なしのフィッシュ。そういうことに価値観を置かない人たちだから仕方がないが、聴き逃すのはあまりにもったいない。基本的にライブの人たちで、4年ぶり、通算15枚目の本作の曲も数年前からライブにはかけられており、2曲に関しては前アルバム『Big Boat』の時も候補であったというから、知り尽くしたレパートリーで、実際のレコーディングそのものも約1週間で終えたそう。それも納得の、着慣れたジャケットのような滑らかなサウンドが1曲目から最後まで詰まってて、聴き手を包み込んでいく。

当初は4月リリースの予定ではなかったそうだが、新型コロナウイルス禍に苦しむ人々、ファンのためにとの思いからの緊急リリースで、過去のライブなんかもストリーム配信を積極的に行うなど、強いコミュニティを形成するグループらしい動きが展開されている。

何しろライブではビートルズの『ホワイト・アルバム』やザ・フーの『四重人格』のすべてを曲順通りにやってしまうほど卓越したライブ・スキルを持つ人たちが、じっくりとスタジオワークのマナーに沿って練り上げているトラックだけに、どれもまず一音一音の表情が穏やかかつ豊かで、音に身体を委ねる感触が何とも快感だ。全9曲、得意の長尺ものは11分と12分半の2曲だけとマニアにはやや物足りなさもあるに違いないが、一枚のアルバム・サイズとして聴くには、無駄な展開や遊びもなく、かといってシリアスになりすぎず各曲の宇宙を余韻を持って広げていて聴きやすい。これほどフジロックのシチュエイションに合う人たちもいないだけに久しぶりに帰ってきてくれないものか。 (大鷹俊一)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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フィッシュ シグマ・オアシス - 『rockin'on』2020年6月号『rockin'on』2020年6月号
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