2019年10月の来日公演が延期となり、今年3月の振替公演も新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた白蛇。デイヴィッド・カヴァデールはアコギ弾き語りで、《Fuck off, fuck off》と連呼する新曲(?)“コロナウイルス・ブルース”を自宅撮影で公開し、ファンの溜飲を下げている。
そんなお茶目な御大率いるバンドから新編成ベスト・アルバム三部作の第一弾が届いた。その内訳は、今後『ラヴ・ソングス』、『ザ・ブルース・アルバム』と控えているようで、各テーマに沿った楽曲が収録される。今回は表題通りにロック・トラックが並び、あの曲もこの曲も“バッド・ボーイズ”もない!と、いろいろツッコミを入れたくなるのは好きだからこそ。
楽曲的には初期ブルース・ロックを経て、明快なハード・ロックに舵を切った6thアルバム『スライド・イット・イン』から、世界中を席巻した金字塔的名盤『白蛇の紋章〜サーペンス・アルバス』はもちろんのこと、11thアルバム『フォーエバーモア』まで全16曲を厳選。90、00年代の楽曲が約半数を締めているのも興味深く、コンテンポラリーかつポピュラリティに長けたハード・ロック路線を邁進する曲調は新規リスナーにも入りやすいだろう。本作をきっかけに初期作や御大が影響を受けたポール・ロジャース擁するフリーの作品を聴くのもいいだろう。また、今回の収録曲は新アレンジ、リミックス、リマスターを施したものもあり、さらにデイヴィッドのソロ名義作から“シー・ギヴ・ミー”、最新作『フレッシュ&ブラッド』セッション時に録音された新曲“オールウェイズ・ザ・セイム”(良質曲!)も収められ、マニア諸氏はスルーできないだろう。究極のロック曲ばかりとは言い難いが、十二分に楽しめる内容だ。 (荒金良介)
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