距離を無効化する音の強度

ニュー・ファウンド・グローリー『フォーエバープラスエバータイムズインフィニティ』
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ALBUM
ニュー・ファウンド・グローリー フォーエバープラスエバータイムズインフィニティ

結成20周年の2017年に放った前作『メイクス・ミー・シック』でのポップ実験&探求モードとは、通算10枚目のオリジナル・アルバムとなる今作は様相が一変。ニュー・ファウンド・グローリーの核心そのものを迷いも衒いもなく一筆書きで活写することで、彼らの強靭なタフネスと不屈の楽しさが聴く者すべての眼前に高精細で浮かび上がるような、ダイナミックな快盤へと結実した。サウンドの剛性を鍛え上げた分だけ、ジョーダンの突き上げるメロディは色彩感と躍動感を増し、リフと歌が縦横無尽に弾み回れば弾み回るほど、そのバンド・アンサンブルは無敵の加速感と訴求力を獲得する。「破顔一笑のポップ・ナンバーであること」と「熾烈な闘争心を備えたパンクであること」を、20年以上の時を経た今なお、いや今こそ呼吸レベルの自然さで寄り添わせながら、他ならぬその両者の接点から無上のエモーションの爆発力を引きずり出してみせる│そんなNFGのマジカルな在り方を、今作は明確に指し示している。

冒頭から灼熱重金属の如きギター・ワークで押しまくる“Shook By Your Shaved Head”。前のめりな疾走2ビートをさらに加速させる、“Greatest Of All Time”でのジョーダンのボーカルのドライブ感。“Same Side Sitters”や“Trophy”での痛快なメロコア激走感、“Himalaya”でのハードコアなスケール感……。目まぐるしい展開の果てに誰彼構わずシンガロングへと導くようなラストの“Slipping Away”の雄大なミディアム・バラード感に至るまで、どの一瞬を取っても音の筋力と包容力に満ちている。たとえリモートやソーシャル・ディスタンシングな世の中であろうとも、我々と音楽の間の「魂の距離」を無効化し得るのは、NFGが今作で聴かせたような力強さなのだろうと思う。 (高橋智樹)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
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