《頭の中ウィンカーはずっと定まらないまま/退屈が嫌いで人生の夏を見つけに出よう》。松本幸太朗のしゃがれた歌声から始まる初の全国流通盤。痛快につんのめった“lollin’ lollin’”も、ミドルテンポの夏の夢想ソング“ぼくはかいじゅう”も、《体がちぎれてしまうほどの速さをいつも探してる》と歌う衝動パンク“stand by me”も。《最近夢の中で夢を見て心が弾んでる夜になったら捨てた今日が恋しくなるんだ/最近部屋が狭く感じるようになったのは/膨らみ続けてる未来と上手くならないギターのせいだ》と、ギターを抱えた少年の夢を代弁するような一節を持ったフォーキーな“西武新宿駅、改札を出て左”も、《革命を覚えたのは みんなが嘘をつき投げ散らかした恐怖を/整理する人が殺されかけた時だ 熱にうなされる時は今でも夢に見るんだ》と締めるストリングスバラード“1998”も。もうこれでしかないという焦燥が漂う松本のぶっきらぼうさと人懐っこさが共存した歌といい、ギリギリのバランスで進むアンサンブルといい、すべてがロックと出会った時のあの感じに満ちている。(小松香里)
ロックと出会った時のあの感じ
東京少年倶楽部『空の作りかた』
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MINI ALBUM