制限が育んだクリエイション

マイク・シノダ『ドロップド・フレームズ、 Vol. 1』
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ALBUM
マイク・シノダ ドロップド・フレームズ、 Vol. 1

リンキン・パークマイク・シノダの最新ソロ作は、ファンとの共同作業で制作された。ソロでのアルバムは今作で3枚目。1作目はサイド・プロジェクトであるヒップホップ・ユニット、フォート・マイナー名義で多彩なゲストVoを束ね、トラックメイカー/プロデューサーとして『ザ・ライジング・タイド』(2005年)をリリースした。続く『ポスト・トラウマティック』(2018年)は、バンド・メンバーであり友人チェスター・ベニントン亡き後、自身の漂う心を曲にしたためていった。闇をちゃんと悲しみに昇華するように、私的な感情を元にした作品だった。今回は前2作とはまた別のアプローチで、外出自粛期間中、動画配信のプラットフォームを通じて視聴者の意見を取り入れながら作り上げていった曲のなかからベストなものを選曲(配信ではリアルタイムで曲を制作)。コロナ禍でライブ活動ができないなかでも、人々とクリエイティブなコミュニケーションができないかという彼の思いが伝わるし、なにより遊び心に富んでいる。ファンからのお題は多種多様で例えば、ボリウッド・ヒップホップ(“Cupcake Cake”に)とか任天堂ゲームボーイの感じ(“Super Galaxtica”に)であるとか、お題を元に様々なサウンドをマッシュアップして1曲に仕上げている。ボーイ・バンドやトリップホップ、マリアッチ等々お題はなんでもありで、それらをどう調理するのかトラックメイカー、ソングライターとしてのワザが問われるところだ。1曲目“Open Door”を除きすべてインストゥルメンタルだが、素材を活かしたポップなアイデアや、心地よいループのなかにいかにキャッチーなフックを作っていくかという彼の曲への審美眼がより明解で面白い。配信の企画は続行中だが、第2弾も期待したい。 (吉羽さおり)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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マイク・シノダ ドロップド・フレームズ、 Vol. 1 - 『rockin'on』2020年9月号『rockin'on』2020年9月号
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