2枚組全17曲という大作。上下巻のようなイメージで、2枚でひとつの小説になっているというコンセプトであり、北から南へ旅する青年の姿を描いている。
海外の現行のトレンドともリンクする洗練されたシンセポップを軸に、クールな手触りのサウンドを中心とした北=1枚目から、南=2枚目に向かうにつれて、徐々にその音は温かみを帯びていく。〈上〉のラスト曲“南下する青年”は宮本充による朗読をフィーチャー。《愛してるよ。/それは確かなんだ。/だから…続けるんだ。》。この旅は、自らの信念を確認し、持続的なエネルギーを得ることで、近しい存在や物事とより良く共存していくためのものである。
2019年にリリースした2枚のEPはGalileo Galilei時代含め、初めて何かしらのアーティストの音楽をイメージせずに作られた、開放的な純粋性のもとに生まれた作品だった。2020年、世界は混乱し、あらゆるフェイクが飛び交っているが、その状況下で「アルバム」でしかなしえない強靭な表現でもって、BBHFは新たな世界へ足を踏み入れている。(小松香里)
持続的な人生のために
BBHF『BBHF1 -南下する青年-』
発売中
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ALBUM