何ものにも染まらないロックの結晶

GLIM SPANKY『Walking On Fire』
発売中
ALBUM
GLIM SPANKY Walking On Fire
ロック不遇の時代に独り闘争宣言を掲げた『BIZARRE CARNIVAL』、海外レコーディングも含め自らのロック理想郷を作り上げた前作『LOOKING FOR THE MAGIC』を経て、約2年ぶり5thアルバムとなる今作でGLIM SPANKYが対峙したのは、己のロックと時代との位置関係を対象化し、そのハーモニーもコントラストも唯一無二のアートへ結晶させる、というトライアルだった。

清濁渦巻く巨大都市への違和感と憧憬を《何処へでも行けそうな 何にでもなれる街で/今日も探している どうやって旗を立てるのか》のフレーズに託したリード曲“東京は燃えてる”をはじめ、ハイブリッドな質感のブルースナンバー“Lonely Boogie”、アコギのカッティングが冴えるR&B“こんな夜更けは”、オクターバー越しの分厚いリフが壮大なミステリーを生み出す“道化は吠える”……。打ち込みのアレンジも駆使して編み上げた今作のエッジィかつ色彩豊かな音像が浮き彫りにするのは他でもない、何ものにも染まることなく刹那の衝動を燃やし邁進する松尾レミ&亀本寛貴のロック観そのものだ。(高橋智樹)

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