ツアー「aurora ark」のファイナル、東京ドーム公演を完全収録した映像作品。ステージに立つ藤原基央が息を深く吐きながら、「魔法みたいな夜だった」と客席に語りかけ、みんなでたくさん歌い合ったねと。今ここにいる全員が誰ひとり欠けることなく集まることは二度とない、時間の尊さを共有するところから本作はスタートする。

BUMPの楽曲と意志にリスペクトを捧げる一流のクリエイターたちが作り上げた最先端の舞台装置の中、４人は心底楽しそうに、アルバム『aurora arc』の楽曲中心に、結成から24年間、もっと言えば、メンバー同士が出会ってからのすべての時間があって今があるという、ドキュメンタリーチックな空気を醸し出しながら、真摯に音を奏でていく。音楽という宝物に誠実に向き合い、自らの本当の気持ちだけを、不特定多数の一つひとつの心に向けて放ち続けてきたBUMP。何があろうとも、その事実は一切変わらない。最新であり、最高のライブ映像を通じて、その確信が強まる。また良い形でBUMPのライブが観られることを心から願っている。（小松香里）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年12月号より