継承されるクリムゾンの凄味

キング・クリムゾン『ジ・エレメンツ・オブ・キング・クリムゾン 2020ツアー・ボックス』
発売中
ALBUM
  • キング・クリムゾン ジ・エレメンツ・オブ・キング・クリムゾン 2020ツアー・ボックス
  • キング・クリムゾン ジ・エレメンツ・オブ・キング・クリムゾン 2020ツアー・ボックス
  • キング・クリムゾン ジ・エレメンツ・オブ・キング・クリムゾン 2020ツアー・ボックス
  • キング・クリムゾン ジ・エレメンツ・オブ・キング・クリムゾン 2020ツアー・ボックス

キング・クリムゾンの「今」と「歴史」を貴重な音源越しにカットアップした公式ツアー・ガイド作品の発売が、2014年以降もはや毎年恒例アイテムと化しているのは嬉しい限りだ。が、今年の『ジ・エレメンツ』のリリースに関しては、過去の6作品と大きく異なる点がある。言うまでもなく、コロナ禍によってツアーそのものが開催延期となってしまったこと。そしてもうひとつ─約半世紀に及ぶレパートリーを体現してきた2010年代クリムゾンのライブ・アクトにおいて、ドラム/鍵盤とパートを超えて重要な役割を担っていたビル・リーフリンを、今年の3月に病によって喪ってしまったことだ。逆に言えば今作は「リーフリン追悼盤」として、ツアーの有無にかかわらず2020年という時間軸に刻むべき切実な必要性があった、ということだと思う。

亡きグレッグ・レイクの豊潤な歌声とロバート・フリップのギター、メロトロンのみをマスターから抽出した“ポセイドンのめざめ”、デヴィッド・クロス在籍の4人体制当時のアルバム未収録曲“ドクター・ダイアモンド”のライブ音源、“ムーンチャイルド”の2019年最新ライブ・テイクなど、CD初収録となる音源を多数収録した2枚組の今作。中でも「リーフリン追悼」の意味合いを強く感じさせるのが、CD1中盤に収録された“レターズ”の3トラック――ライブにおけるリーフリンの演奏と、『リザード』レコーディング・セッションのフリップのテイクを交互に収録した、合わせて3分あまりの時間がしかし、今作の存在理由を雄弁に物語っている。今作海外盤発売後に逝去したゴードン・ハスケルによる“ルパート王子の嘆き”の演奏も、「アートを継承すること」の凄味をまざまざと感じさせる。(高橋智樹)



詳細はWOWOW Entertainmentの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


キング・クリムゾン ジ・エレメンツ・オブ・キング・クリムゾン 2020ツアー・ボックス - 『rockin'on』2021年1月号『rockin'on』2021年1月号
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

最新ブログ

フォローする