この最新EPに先駆けて、秋田ひろむは札幌市真駒内の頭大仏よりオンラインライブを繰り広げた。本作にはその時のセットリストにも含まれた新曲群を収録している。プロジェクションマッピングを使用した頭大仏でのライブ映像を使用した“令和二年”のミュージックビデオにしても然りだが、このEPを通して驚かされるのはamazarashiの音楽の新鮮な響きである。現在進行形の痛ましい苦悩を筆圧高く綴る歌詞はこれまでどおりだけれども、ハーフエレクトロニックのアンサンブルにしても、何より秋田の紡ぐメロディにしても、未来に向かう覚悟を宿すように過去のamazarashiとは一線を画したタッチになっていて、しかもそれは激しい情緒の渦を内に秘めたまま、どっしりと頼もしい響きをしている。音楽にコーティングされた言葉の数々がスッと五臓六腑に染み渡り、リスナーに即効性高い活力をもたらす。そんな効力を目指した作品なのだろう。初回生産限定盤に収録された“令和二年 acoustic version”に触れれば、丸裸になった旋律が新しい覚悟の輪郭をより明瞭に伝えてくれるはずだ。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より