信じることのパワーを歌う

ジャスティン・ビーバー『フリーダム』
発売中
EP
ジャスティン・ビーバー フリーダム

最新アルバム『ジャスティス』の発売から僅か2週間ほどでジャスティン・ビーバーがサプライズ・リリースした本EPが、キャリア初のクリスチャン・ミュージック作品だったことは、決して想定外の展開ではない。彼が敬虔なクリスチャンで、暗黒時代から立ち直る上で信仰心が大きな支えになったことは誰もが知るところ。『パーパス』収録の“オール・イン・イット”などでも信仰心に触れていたし、近作をインスパイアした最愛の妻と並んで、神の存在こそが人生の柱なのだという事実を、作品に表すことでより明確にしたと言える。

またサウンド・プロダクションについては、ダンスホールからトラップまでコンテンポラリーなポップの枠内で完結させているが、ゲストは作品の趣向に準じてセレクト。スピリチュアル・アドバイザー的な牧師ジュダ・スミスがスポークン・ワードを提供したほか、クリスチャン・ミュージック界のシンガーやラッパーを交えて6曲を作り上げた。

中でも現在のジャスティンのモードに直結する曲は、“オール・シー・ロート”と“ウィア・イン・ディス・トゥゲザー”かもしれない。前者での彼は今の世界で自分が果たすべき役目を模索し、後者では幼少期に遡って、人生を総括。成功と躓きと再起を経て、この先どう生きるべきなのかと問いかける。

そしてキャンセル・カルチャーに言及するバラード“アフレイド・トゥ・セイ”では、人間の弱さを寛容に受け入れてくれる神を讃えるなど、実体験を通して内在化することで、ざっくりとしたワーシップ・ソング集ではなく、等身大の表現に到達しているんじゃないだろうか?

しかも、『ジャスティス』においてある意味で一番チャラいラブ・ソング“ピーチズ”が大ヒットしている中、対照的なEPを投げてきた彼。狙ったのだとしたら、ニク過ぎる。(新谷洋子)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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ジャスティン・ビーバー フリーダム - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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