正しくエコ

ニール・ヤング『フォーク・イン・ザ・ロード』
2009年04月22日発売
ALBUM
ニール・ヤング フォーク・イン・ザ・ロード
自分はゴミをしっかりと分別しているし、リサイクルには積極的だし、必要ないときはお店で袋を拒否するし、外でコーヒー買うときはタンブラーを使っているし、それなりに気を遣っているつもり。それだけにプライベート・ジェットで世界を飛び交う大スターや大企業がPRの一環としてエコを謳うのはピンとこない。戯言にしか聞こえなくて、むしろそれに反抗して世界を汚したくなる。

2000年代になってからなんと6枚目となるニール・ヤングのスタジオ・アルバム(ほかにも未発表曲集やライブ盤も発表)の『フォーク(分岐点)・イン・ザ・ロード』。60歳を超えるというのに、この仕事ぶりには相変わらず圧倒させられるが、今作のコンセプトを聞いて思わずニヤリ。“代替エネルギー”だそうだ。つまりエコということ。以前から“Lincvolt”と名付けた愛車の59年型リンカーン・コンチネンタルを電気と天然ガスで走るように改造し、その成果を計り、それを伝達するプロジェクトを発足していたニール・ヤング。その車に乗ることで生まれた現状に対する疑問を歌うニール・ヤングだが、それがまた感情的ではなく、実に理論的なのだ。「おれは運転が好き。デカい車を運転するのが好き。でもガソリンは高い。なぜ高いか。使いすぎたから枯渇しそうで、それを大企業が支配しているからだ。だったらその代わりとなるものを考えよう」というようなもので、自己満足的な欲求を訴えた上で、それを追求するもっとも効率的な手法を提示。そこにはまったく嫌味も出鱈目もない。さすがである。(内田亮)
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