未来を照らすイマジネーション

小沢健二『エル・フエゴ(ザ・炎)』
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小沢健二 エル・フエゴ(ザ・炎)
小沢健二が3ヶ月連続でシングルをリリースすることを発表し、前作、第1弾“ウルトラマン・ゼンブ”は、自身の次男(4歳)から生まれた「歴代ウルトラマンすべての力を併せ持つ最強のヒーロー」というアイデアから生まれた曲だった。続く第2弾の本作、今度は長男(7歳)の発案だという。おそらくは理科室の骨格標本から膨らんだイマジネーションなのだろう。「エル・フエゴ」という骨だけの架空の戦士の姿を、静かに、けれど力強く響く歌声でリスナーにも想起させていく。今作はまさに想像の中で遊び、想像の中で自分の弱さを勇気に変えたりもする、子どもの素晴らしく豊かな、そして生きるうえでとても大切な想像力を、そのまま楽曲に落とし込んだようなピュアな作品だ。「子どもを題材にするのではなく、子どもの時空に入りこんで一緒に書く、という手法」だと、本人のコメントにもあるとおり、現在の小沢健二の目線と子どもの目線が交錯する歌詞には、悲しみや苦しさを抱えながらも未来を歩んでいく戦士=エル・フエゴの力強い姿が生き生きと描かれている。これは希望の歌だ。(杉浦美恵)

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