10年間ともに歩んできた仲間への想いが爽やかに躍動する“Time Flies”、他人の幸せを心から祝福している“幸せのシャナナ”、穏やかな幸せが伝わってくる“アーモンド・アーモンド”、軽快なダンスチューン“Fitness Funk”、セクシーなイメージを喚起してやまない“Be Bold!”など、多彩なナンバーが並んでいるこのアルバムで一貫して描かれているものを端的に言い表すならば、「優しさを大切にしましょう」ということだと思う。厚意を受けた人はもちろん、その周囲の人々の気持ちも晴れやかにできるのが「優しくする」というささやかな行為であり、そういうポジティブなエネルギーを多彩な切り口で描いているのが今作だ。特に存在感を放っている曲として挙げるべきなのは、やはり“愛を、今”だろう。清らかなサウンドで彩られたこの曲が愛を届けている対象は恋人ではなく、自分自身なのが目を引く。己の不甲斐なさを噛み締める瞬間を度々経験しつつ、今日まで付き合ってきた「自分」を優しく抱き締めて未来へと進もうとする様が、まざまざと伝わってくる。BRADIOを代表する1曲となっていくと思う。（田中大）

『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より