とりとめのない蠱惑

リズ・フェア『ソーバリッシュ』
発売中
ALBUM
リズ・フェア ソーバリッシュ

93年に発表したデビュー・アルバム『Exile In Guyville』と、次作『ホイップ・スマート』で時代を魅了したオルタナ・クイーン、リズ・フェア。その後はメジャー移籍し、それなりにヒットも出しながら、なんとなく盛り下がっていってしまった印象がある。いや実際、ピッチフォークでは03年のセルフ・タイトル作品に0点をつけられたりもしていた。ちなみに『Exile〜』は10点満点で、最高点と最低点どちらも記録した人というのは、けっこう珍しいんじゃないだろうか。

さて、11年ぶりのご無沙汰となるニュー・アルバム。この間に彼女は、『Exile〜』のリマスター版と、デビュー以前ガーリー・サウンド名義で制作した音源をまとめたボックス・セットをリリースしたり、それをフォローするツアーも行なうなど、原点回帰を志向するような動きを見せていた。

そして、新たにクリサリス・レコードと契約して完成させた本作では、彼女の初期作品をはじめ、ヴェルーカ・ソルトやサニー・デイ・リアル・エステイトを手がけたブラッド・ウッドが久々にプロデューサーを務めている。

「これは久々に盛り上がれそう!」と先走って漲ったものの、勝手に昂ぶったファンの期待をサラリとかわすかの如く、この人はやはりどこまでもマイペースな風情。サウンド面ではデビュー時の素朴な味わいを取り戻しているように感じられつつ、それほど露骨にローファイに寄せてみせたりはしてしない。本人の佇まいも、熟女の魅力が倍増!なんてこともなく、逆に年齢不詳の美魔女ぶり!とかいうのでもない。何か紋切り型に嵌めようとしても、するする逃げていっちゃう。

そんなわけで、決して「リズ・フェア復活!」と随喜に打ち震えるほどではないけれど、聴いてるうちにジワジワよくなってくるような……焦らされ続ける悦楽か? (鈴木喜之)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。
ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。

リズ・フェア ソーバリッシュ - 『rockin'on』2021年7月号『rockin'on』2021年7月号

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