“愛憎”や“殺文句”も収録された、それまでの集大成のような1stフルアルバム『別に、どうでもいい、知らない』を経てリリースされた初のシングル。青春の片思いを綴ったミディアムチューンである“ポニーテールに揺らされて”、恋人の浮気に対する哀しい男心を歌った“君が言うには”、そしてアッパーなロックサウンドにそれこそオムライスの卵みたいにメロメロの恋心を乗せた“オムライス”。全部描いている情景も曲調も違うが、そのバラバラさ加減がかえってこのバンドの揺るぎない芯の部分を教えてくれる。それはたとえば菊池陽報の書くメロディの根源的な切なさであり、自問自答を繰り返しながらぐるぐると同じ場所を回り続ける歌詞の情けなさであり、そんな歌の骨格にこれだという色だけを的確に塗り重ねていくようなアンサンブルの頼もしさだ。それにしても、これだけ一人称的な恋模様を歌っているにもかかわらず《あれ?僕おかしいのかな》(“君が言うには”)みたいなフレーズにふと表れる、自分の背中を自分で見ているような菊池の淡々とした視点はとてもユニークだ。(小川智宏)
淡々と切ない
This is LAST『ポニーテールに揺らされて』
発売中
発売中
SINGLE