この不穏さにこそ救われる

4s4ki『Castle in Madness』
発売中
ALBUM
4s4ki Castle in Madness
真にオルタナティブなポップを発信し続ける4s4kiのメジャー1stアルバム。海外勢を含む多くのアーティストとのコライト、フィーチャリングにより、ますます先鋭性と多様性を増しながら、根底にある4s4kiの本質がはっきりと浮き彫りになった作品でもある。たとえばとことんまでダークな世界観で鳴る“天界徘徊 feat. 釈迦坊主”などは、その音の隙間に迷い込み、「向こう側」に取り込まれてしまいそうな危うさと心地よさが同居する。“moonlake”で美しい声が《繰り返される地獄/天国が呼んでる》と歌う時、なぜだかそこに癒しを感じられる。《死にたくなることなんて誰にもあるのにね》と、短い歌詞でピンポイントを突く“幸福論”は、死に向き合うことをタブー視しない4s4kiの、逆説的にポジティブな死生観が映し出される。彼女の歌はその不穏さこそがリアルな救いだ。ファンタジーと現実の境界、俗世と冥界の間、そのギリギリの場所で鳴らされる音楽はある種のトリップ。落ちていきそうな自分を一瞬脇へと逃避させてくれる4s4kiのポップは、だからこそ心底オルタナティブだと形容したくなるのだ。(杉浦美恵)

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