陽気なリズムが楽しいパーティチューン“YA! YA!”から小気味よいギターリフをザクザク刻むポップなロックンロール“OH NO!”、そしてスウェーデンの雄ザ・ハイヴスを彷彿とさせる高速ガレージロックにしてバンドの最新アンセム“T.Y.I.A.”へと連なるオープニング3曲の流れがまず抜群にいい。また、レコードでのB面1曲目にあたる7曲目“DO IT”およびラスト前の“RUN AROUND”と2ヶ所に激しくうねる鬼グルーヴ曲を配置しつつ、最後は牧歌的な“END OF THE SUMMER”で締める構成力の高さが実に鮮やかだ。TAXMAN作・ボーカルによる“LOOKER SUGAR”が滅法いいのも心強い。“WHY WHEN LOVE IS GONE”はブラーやミューズのメンバーを擁するスーパーバンド、ザ・ジェイデッド・ハーツ・クラブも昨年カバーしたアイズレー・ブラザーズの楽曲だが、音数を絞って曲の抑揚を強調した演奏で、堂々たる仕上がりになっている。

全方位的に隙がない、世界に誇る日本のロックンロールバンドとしてまさしく面目躍如の一作だ。（長瀬昇）

『ROCKIN'ON JAPAN』10月号より