そらる自身が作詞作曲を手掛けた楽曲を多く収録した『ワンダー』から2年2ヶ月ぶりのニューアルバム。前作から一転、今回は先行配信された“ブルーパレット”のKanariaを始め、Neru、syudou、ツミキ、柊キライ、かいりきベア、すりぃ、てにをは、黒魔、ナノウ、yukkedoluceら、錚々たる実力派ボカロPが作詞作曲を担当。「子どもの頃の自分に聴かせたい1曲」をテーマに、それぞれ作家の個性が炸裂した楽曲たちは、オムニバスアルバムとしても楽しめる濃厚さだ。大人になってしまった哀愁を歌っていたり、不安を抱えていた幼い自分を鼓舞したり、昔を懐かしんだり、テーマから連想する世界はさまざま。多彩な価値観に次々と憑依していくような、「歌い手」としてのそらるの表現を堪能できる。特に5分超のバラードが続く後半は、時空を超えた想いを歌い上げるそらるの声が圧巻で、映画や舞台を見ているかのよう。そんなアルバムのラストを飾るのは、そらるが作詞作曲の“ゆめをきかせて”。壮大ながら優しい質感のサウンドと歌声で、最後にそらる自身の温かさに包まれるフィナーレが見事。(後藤寛子)
時空を超えて届く歌
そらる『ゆめをきかせて』
発売中
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ALBUM