フィジカルリリースとしては約2年半ぶり。お気に入りの服についたまま消えない染みのような記憶と感情を、まるで短編小説ばりのポップソングへと仕立て上げるめ組の凄さは、こうしてまとまった音源集に触れることで、表現の質量をより正確に把握することができるのだと改めて痛感した。本作は7曲収録のミニアルバムだが、一曲一曲に込められた奥行きのある物語と丁寧に編み上げられたサウンドを象徴するタイトルこそが『LOVE』なのだろう。今年に入ってデジタルリリースされた“あの恋をなぞれば”や“愛し、愛され”を含め、花井諒が全曲のアレンジを担当。バンドサウンドにDJミュージック的視点を持ち込んでいるのだが、むしろ“わたくしごと”や“切ない”といった楽曲では、め組の得意とするビートロックの生々しいコンビネーションが活かされている。ジプシースウィングとレゲエが融合した“切ない”は、あたかもそういうふうに生まれてきただけという無邪気な顔をして、軽やかに伸び伸びと鳴り響く。これがLOVEの産物でなくて、一体なんだと言うのだ。5月のツアーは必見である。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より