これまでも幅広いアーティストとの関わり合いを見せてきた椎名林檎の、意外にも初めてとなるリミックスアルバム。デビュー初期から現在に至るまで、すべての時代を網羅した全12曲を、国内外のジャンルや世代を超えたリミキサー陣が、個性豊かに料理している。Telefon Tel Aviv、砂原良徳、Gilles Peterson、object blueのリミックスが続き、耳と心に「点耳薬」を流し込んでいる中で引っかかったのが、岡村靖幸が手掛けた “長く短い祭”。ファンキーで遊び心に溢れていて、岡村ちゃん節満載! その相性の良さに、今後の共演までも夢見てしまった。その後のOvall、Miso、石野卓球、KID FRESINOのリミックスも、それぞれ効能がある薬だったが、カラフルなビート職人・STUTSによる“女の子は誰でも”は「家でも楽しく踊れる」効能が、チップチューンの使い手である鯵野滑郎の“いとをかし”は「(椎名林檎自身も含めた)アラフォー世代が、80年代を懐かしいだけではなく面白いと思える」効能がある。良薬は口に苦し、なピリッと感も含めて、聴けば心身の病み(闇?)に効いてくる一枚。(高橋美穂)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より)
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12種の効能が心身に染みわたる
椎名林檎『百薬の長』
2023年01月11日発売
2023年01月11日発売
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