オルタナティブに心を癒す歌

カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』
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ALBUM
カネコアヤノ タオルケットは穏やかな
今作の制作では、カネコアヤノのホームと言える伊豆スタジオで、林宏敏(G)、本村拓磨(B/ゆうらん船)をはじめとしたバンドメンバーと一緒に約1ヶ月、合宿レコーディングを行ったという。その時間の濃密さを物語るようにこのアルバムでのバンドサウンドは有機的なあたたかみとともに、多彩でオルタナティブな刺激に満ちている。そのサウンドと対峙し、彼女の歌声はまた新たな景色を映し出す。シューゲイズのアップタイトなギターサウンドから《変わりたい代わりがいない/わたしたち》と力強く歌いかける“わたしたちへ”をはじめ、リバーブ深めのドリーミーサウンドとやわらかい歌声が心地好い“眠れない”、穏やかなメロディが一転ダークに景色を変える展開が印象的な“予感”など、音像と歌とが一体となって心象風景を彩り豊かに表現する。中でも表題曲“タオルケットは穏やかな”での不穏なフィードバック音と耳に沁み入る伸びやかな歌声の対比に心惹かれる。一筋縄でいかない日常の中で、曖昧な愛の形を肯定する思考を描き出すように響き合い、なぜだか心を穏やかにしてくれる。(杉浦美恵)

(『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より)


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