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誰しも大なり小なり、嫌な記憶や思い出したくないような経験を抱えているのではないだろうか。“FLASH BACK!!!!!!!!”は、その陰鬱とした映像がふとした瞬間に脳裏に浮かび、思わず振り払いたくなる感覚をバチバチに研ぎ澄まされたロックサウンドで鮮烈に鳴らす。イントロから印象的なギターリフがボルテージをあげて唸り、しなやかさと妖しさに狂気を纏った谷絹茉優（Vo）の歌声に脳が痺れる。加速するビートに鼓動が呼応し、超満員のライブ会場で観客のシンガロングが渦巻く光景までが自然と浮かぶ《FLASH BACK!!》の爆発力は圧倒的だ。思い出したくないはずの記憶に対して《全て思い出せ》と迫るのは、一見すれば刺激的だが、不思議と嫌悪感はない。疾走感で溢れたサウンドが感情の澱をのみ込み、気づけば声をあげ、拳を突き上げたくなる昂りに染めるのだ。Chevonの音楽が持つ解放力に共鳴するように、心の奥の暗闇を優しく包むのではなく、爆風で吹き飛ばしてくれる──そんな強烈で、抗いようのない一曲だ。（江口祐里）（『ROCKIN'ON JAPAN』2026年1月号より）
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