“Ripple Mark”や“ミラージュ”といった高精細ポップミュージックのデジタルシングルにも驚かされたが、仙田和輝(Vo/アオノオトシゴのメンバーとして出演したCOUNTDOWN JAPAN 22/23のライブも素晴らしかった)と山本幹宗(G)による新生ロックユニット=Benlouの初となるEP。フレッシュにして類稀な歌唱力を誇る仙田と経験豊かな山本は、楽曲ごとに作詞・作曲・編曲のさまざまな形で化学反応を起こしながらこの作品を完成させている。トロピカルなシティポップ感覚を下地にしたオープニング曲“深部感覚”や、ファンキーなグルーヴ感の中から生活の中の空虚をリリカルに立ち昇らせる“フェイク”といったふうに、瑞々しいまでの若さ青さと、成熟した音楽表現に滲む憂鬱が渾然一体となって触れる者の意識にへばりついてくる。2重の意味でブルーなのである。耳の肥えたベテランリスナーはもちろん、あらゆる世代の知識・経験に容易くアクセスしてしまう現代の若いリスナーにもぴったりのポップミュージックなのではないだろうか。全曲シングル級のクオリティを堪能してほしい。(小池宏和)
(『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より)
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シーンを揺るがす、2重のブルー
Benlou『煙』
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