シンプルなリズムとアルペジオに乗せて、夜の街をふらつくように進む歌。アーティストとしての決意が滲む“東京宣言”と“ロックスター”を経てTeleから届けられたのは、どこかプライベートな匂いすら漂うメロウでオフビートなミドルテンポの楽曲だった。だが、だからといってこの曲に意志や確固たるテーマがない、ということではない。むしろ逆だ。《ねえ、フレンズ。》と語りかけるように歌われるこの曲は、その親密さとリアルだからこそ宿る切実さによってますます実感をもったメッセージとして響いてくる。とりわけ曲の中盤、《君のタフさに全てを委ねないで。/自由を愛する事をやめないで。》《喜びも悲しみも理由はないから、不安にならないで。》と畳み掛けるような部分は、それこそ“ロックスター”で《誰かにとって奇跡なんだ》と歌われていた「ロックスター」から差し伸べられた救いの手そのものだし、実際にこの曲を聴いて救われる人はたくさんいるはずだ。つまり、谷口喜多朗は自分で宣言した通りの道を力強く歩み出しているということだ。より直接的に、より自分の体温に近い形で。(小川智宏)
(『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より)
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早くも「実践編」という感じがする
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