世の中にはたくさんの「呪い」の言葉が溢れかえっている。「〇〇するのは常識」とか「男性/女性なら△△であるべき」とか。それらは社会から発せられたメッセージかもしれないし、身近な誰かの言葉かもしれないけど、だんだんと積み重なっていくことで人は孤独になるのだと思う。
歌舞伎町という様々な人が行き交う都会のど真ん中で、みんながこれまで浴びせられた呪いの言葉や、抱えきれない孤独を一身に背負って、音楽で救おうとするたった一人の若者がいた。
2022年11月の初ワンマンライブで新曲として披露した“ロックスター”は、これからそんな存在になっていきたいという宣誓のようであったが、昨日のライブを観て、本当にこの人はロックスターになろうとしているんだなという納得感があった。そのくらい、谷口喜多朗の叫びが熱かった。
そして前回観た今年2月のO-EASTのライブでは、「ステージの端から端まで13歩で歩けたけど、もっと大きなステージにみんなを連れて行きたい」というようなMCをしていたが、13歩じゃとても歩けない日本武道館でのワンマンライブ開催が発表された。
すさまじいスピードで有言実行していく彼に、救いを求めて今よりもっとたくさんの人が集まってくるだろうけど、どんなに大きな闇だろうと音楽の力ですべてを祝福に変えてしまうんだろうなと、そんな確信を持った夜だった。(有本早季)
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Teleが「ロックスター」の片鱗をのぞかせたZepp Shinjukuワンマンライブを観た
2023.10.16 12:00