命に水を与える歌

あいみょん『愛の花』
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あいみょん 愛の花
哀しみと喜びの日々をささやかに祝福するように、繊細に、穏やかに、躍動するワルツ。バンドサウンドと室屋光一郎のアレンジによるストリングスが曲を彩るが、決して派手な装飾にはならず、あくまでも中心に聴こえてくるのは、瑞々しく体温を伝えるアコースティックギターのシンプルな響きと、あいみょんの歌声。4月から放送されているNHK連続テレビ小説『らんまん』の主題歌として書き下ろされたこの一曲は、まさに朝の顔となるに相応しい、優しい名曲である。聴けば、昨日までの自分の人生を慈しむような気持ちになる。

《私は決して今を/今を憎んではいない》――こんな一節に、消えることのない痛みと、それでも湧き上がる人間の勇敢な生命力と、誰しもが背負う「生きること」の重みを感じる。何年も前に小さなライブハウスで初めてあいみょんのライブを観た時、ソングライターやパフォーマーとしての凄みは感じつつも、朝ドラの主題歌を担う存在になるなんて想像もしなかった。でも、今は深く納得する。彼女はその音楽で、聴く人の生に、命に、水を与え続けてきたのだ。(天野史彬)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)


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