新作『Shepherd』は、まるで旅するように人生を語り未来を思い描く、とても風通しのいい開放感に溢れたアルバムである。美しいインストのイントロダクションは未知なる世界へと誘う扉のようで、《置かれた場所で咲くなんて/もう聞こえない》と歌う“Super Bloom”はまさに旅立ちの合図。迷いや恐れを振り払って、自分の直感が示すほうへ進めと、井上竜馬(Vo・Key)の清冽な歌声が響く。フィドルの音色も軽やかなカントリー調の“Boat on a Lake”は爽やかな希望を感じさせ、“Blue Thermal”は過去も未来も祝福するように鳴り響く。一方で《軽快なtrack でも この目はblank》とアイロニカルに歌う“Castle Town”から、現代社会の欺瞞を辛辣に(それでいて軽快に)描く“Raided”と続く流れは、この「旅」が単なるファンタジーや逃避のメタファーではないことを示している。アルバムラストはパウロ・コエーリョの小説にインスパイアされたという“Alchemist”。井上が1曲の中に生の本質を描き込んだような楽曲であり、その哲学がアルバム全体を貫いていたことにも思い至る。素晴らしい。(杉浦美恵)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年7月号より抜粋)
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旅することとは生の本質を知ること
SHE’S『Shepherd』
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